2024年6月26日(火)
HAPPY WHEEL第12輪「さようならご主人様」での一幕
HAPPY WHEEL(ポピーとウィリーの小説)が自分の中でハマったのは、
自分の抱えているつらさとか、弱さとかをうまく言葉にできない主人公と、それを知りながらも先回しして助けるのではなく本人が助けを求めるのを望んでいるサポート役…という関係に安心感を持ったからだと思います。
(もしかしたら前もそんな話をしたかもしれない)
サポート役が、「わたしはあなたのことをなんでも知っています」という姿勢になってしまうと、今よりももっと依存が強くなりそうだし、自我の成長の上で良くないと思うんですよね。
このお話を書くことが私にとって、自分自身の対話でもあると思っています。
もちろんキャラ萌えもあるとは思います。キャラクターが可愛いから感情移入できるんだろうし、
ただ単に好きなキャラを愛でたいという思いがありますし。
以下で、デデデとポピーの話をします。
色々と好きなシーンがあるのですが、
第12輪「さようならご主人様」という話で、デデデ大王とポピーが口論になるシーンを一つ挙げたいと思っています。
このシリーズのデデデは、いいところもあるのですが、色々と勝手で、ひどい人でもあります。でも、自業自得な散々な目にもあっていて、それで善悪のバランスが取れているという感じ。
そんなデデデですが、彼は彼で勘のようなもので、ポピーの違和感に気づいていたります。
「お前はどこかが狂っている。大丈夫だと思ってやっていることが全然大丈夫じゃないのだ!」
というセリフ。
これは、ポピーがいつも明るく振る舞っているけれど、実は自分自身のネガティブな感情を表現するのが苦手で、体を壊したり苦しんだりしているというのをなんとなく感じ取っているからなんです。
本人は大丈夫にふるまってるけれど、実際は”全然大丈夫”じゃない。だからもっと自分を大事にしてくれといいたかったんです。でもそこが抜けてしまっている。とにかく、お前は大丈夫じゃないだろう、と指摘をしたいのですが、ポピーはそういう話題をいつも避けていくのでなかなか伝えることができなかった。それでどういうわけか、お酒に酔った勢いで言ってしまうのです。
ところが、ポピーはそれを、「お前は大丈夫だと思ってやっていることが、いつも”失敗だらけ”だ」と言われたと受け取ってしまいます。「精一杯やってきたけど…まだ足りなかった…?」と動揺するんですよね。
できるだけ筋を通そうと彼も必死でやってきましたし、自分が良いと思うお兄ちゃんを演じてきたのです。
でも、ジュニアに対してはもっとこうしてあげたかったという思いもあるし、隅では自信の持てない部分もたくさんあった。それを言われたのだと思って、ショックを受けたというか。まさか(いつも自分に甘い)デデデから言われるとは思ってなかった、というところでしょうか。
タイミングとお互いのメンタルの状態が最悪だったというか。
大事に思っているということが通じないどころか傷ついてしまうという、なんだか皮肉な一幕です。
ここでワドルドゥとバンダナワドルディが助けに入ってくれるのですが、
彼がウィリー以外の仲間に弱さを見せて助けてもらうシーンでもあります。
「そこまでおっしゃることはないでしょう」
「あまり感情的にものを言うのはよくありません」
最も過ぎて。私が言われているみたいです。
それから、ポピーの愚痴を二人で聞いてあげるシーンはバンワド君と隊長のセリフで語られるだけですが、アニメ版のデデデの一番の部下といえば…な、”あの方”のセリフをオマージュしたことを言っていたりします。
「バカ! 悪魔! 鬼! 人でなし! デブ! サディスト~~!! 」
一個おまけついてます。バカ!って。
自宅のポピーは「あなた」とは言ってるけどやっぱり口が悪いですね。
ワドルドゥ隊長がカツサンド好きだったり、デデデが「やっぱりイビキはガ行が似合うぜ…」と寝言を言ったり、アニメ版とは変なところでシンクロしています。
うちのデデデの一番部下と言ったらポジション的にはバンダナ君なのですが、このセリフを言うとしたら彼よりもポピーの方が言いそうではあるよな…と、書いた後で思いました。
でもこうやって助け合える仲間ができたタイミングで、ウィリーが「自分がそばにいてはいけない」と思い込んでポピーの元を去る展開になるのもポピーにとってはなかなかの不運ではあります。
でも今度は賢い弟の一言に助けられて、彼女を迎えに行けるという展開があるので、やっぱりシリーズを通して彼は成長しているのだなと思います。