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ジュニアンの手紙3通目

兄貴へ

手紙を受け取ってくれてありがとう

2通目の手紙も戻ってこなかったことで、
あんたがまだそこにいてくれるんだって 俺は安堵してるよ

手紙なんて、小2の時に書いた作文以来だなって
あの作文はまさに今やってる、あんたを全力で肯定する称賛の嵐だった
先生に褒めてもらおうと思って素直に書いたんだよ
あの作文、あんた読んで号泣してただろ
「大げさだな」って、呆れてたけど
今はあんたが泣いた意味がわかるような気がする

2通目の手紙を書いたあと、ウィリえもんが帰ってきたんだ
俺にあんたへの恥ずかしいラブレターを書かせたことに文句を言ってヘッドパーツに「肉」って書いて町内一周させてやる!!って思ってたけど
あいつから話を聞いてそんな気持ちも吹っ飛んだ 

生きてるあんたと、反抗期真っ盛りな俺がいる時代に行ったウィリえもんは、
「3回役に立った実績がないと未来に強制送還される」って言って、道具を使わせようとした
この時代でウィリえもんに会っても、あいかわらずあんたは「そばにいてくれるだけで幸せだよ♡」とか言ってデレデレして、道具を使おうとしなかった。そこであいつは、そんなルールがあるって俺を『脅し』、なんとか道具を使わせたんだ。
その結果、あんたはウィリえもんに、誰にも打ち明けられなかった心の闇を打ち明けることができた。
『生まれてきたことを許してもらう道具はないかな』って。
聞いた瞬間、心が凍りついたよ。
遺書であんたが『生まれてきてごめん』って言ってた理由は、ここから来ていたんだな。

ウィリえもんは、記憶を消す道具も、自己イメージを書き換える道具も未来には存在すると答えたが、敢えてそれは使わずあんたを過去へ時間遡行させ、『自分で自分を許す』ってことをさせたんだ。

そして、そこであんたが受けていた暴力、理不尽な要求。そのなかで、懸命な母の世話。家事。そんなにあんたが家族を思っていたのに、
あんたが母さんに言われた言葉は、あまりにも酷いものだった。
幻覚をみていたとはいえ、子どもがそんな言葉を聞いたらどう思うか。あんたがどんなふうに思ったのか。
あんたは、生まれてきたことをゆるしてもらうため、他人に尽くすしかなくなっちまったんだな。

あんたはウィリえもんが見守る中、母の言葉を聞いて心を捨てて機械になることを選ぼうとする自分を呼び止めたんだ。

『お前は何もわるくない。母さんは、限界だったんだ。結局届かなかったし、感謝されることも報われることもなかったけど、お前は母親を懸命に支えてきたんだ』

そう言って、抱きしめてやった。

『これからもつらいことだらけだけど、生まれてくる弟は、かならずお前の心強い味方になってくれる。だから、誰かにゆるしてもらうためにがんばらなくていい。どうか生き延びてほしい』


時間遡行からの帰り道、あんたは、軽かった体が少し重くなった気がするとウィリえもんに伝えたそうだ。きっと、あのとき捨てた子供らしい心が、あんたの体に戻ってきたんだろう。
俺は、ウィリえもんに心から感謝した。

ウィリえもんが介入したことで、その時代の俺たちの時間軸は、こことは別の平行世界になってしまった。ウィリえもんは、もう少しこの時間軸に留まりたいと言うんだ。そこではあんたが、遺書を書くかもしれない絶望に出くわしても、生き延びる未来が見られるかもしれないからと。
俺は快諾した。俺も願いは同じだ。
たとえ平行世界の出来事であっても、こんなふうに死んだあんたが、無理しないで笑って過ごしてる世界線があると思えたら俺にとって希望になるから。

同封した写真は、ウィリえもんが、特別に許可をもらって持ってきてくれた、その時代で撮ったものだ。
俺ら兄弟は、ワープスターに乗って世界旅行へ行ってきたらしい。俺もけっこういい笑顔してるだろ?

じゃあまたな

あいしてるよ


あんたの愛する弟

ジュニアン

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