PWJ書庫
ジュニアンの手紙2通目
バカ兄貴へ
手紙を受け取ってくれてありがとう
あんたが読んでくれたのか、ゴミ箱に捨てたのかは俺にはわからないが
この怪しい道具のシステム上、不在や受け取り拒否になって返ってこなかったってことは、あんたが受け取ってくれたってことになってるんだ
だから、お礼をいいたくて、またあんたに手紙を書いている
俺はあんたと呑気に文通をするつもりはないから、あんたが返事をしなくたって、勝手に送り続けるつもりでいるからな
受け取り拒否にならないか、ビクビクしながらだけど
もちろん、書いてくれたっていいんだぜ
むしろ俺は、あんたがいつか返事をくれる可能性を増やしたいから
山ほど謝りたい気持ちを置いて、あんなうすら寒いのに暑苦しい言葉を羞恥心を抑えて綴っているんだからな
だけど前回言ったように⋯やっぱり謝りっこはなしだ
俺の嫁さん、あんたの作る料理と味が似ててさ
かわいいとか、一緒にいてほっとするとか、魅力は他にいっぱいあるけど
結婚してくれ!ってなったのは
その手料理だったんだ
とくに、りんごタルト。
思春期になってから「太るからいらない」って断っておきながら、冷凍してくれてたやつをこっそり完食してたのはどうせバレてるんだろうけど
彼女がデートで作ってくれたタルトは
あんたが作ってくれたのとほとんど同じで
勘違いしないでくれよ?奥さんをあんたと同一視してるんじゃないんだからな!!!
それは嫁さんに対しても失礼なことだ。
でもあんたの作るメシは美味かった
作る料理の味が似てるって理由で、一生そばにいてほしいと思うぐらい
あんた俺を幸せにしてたんだよ
なあ兄貴
いつだって化けて出てくれていいんだぜ
いつもみたいに寒いギャグで笑かそうとしたら、即座にツッコミを入れてやるからさ
あんたのその寒いギャグは、案外けっこう覚えてるんだよ
とくに、あの「妖怪ゲロゲロ星人」な。
トイレでしんどそうに吐いてたから心配して声かけたのに、即座に口をぬぐってバカみたいにボケやがって。⋯だけど、あんたは俺に深刻な雰囲気を与えたくなかったんだろ。つい、その妖怪なんだか宇宙人かわからないふざけた名前にツッコまずにはいられなかったよ。でも、「苦しい」「辛い」って、言ってくれてよかったんだぜ。
小坊の時にあんたの作った「愛兄」弁当。あれは、「あんな恥ずかしいもん二度と作んな!!!」って怒鳴ったけどさ、実は、クラスでほとんど笑わない、無表情なレーザーボールちゃんがびっくりするほど笑い転げてたんだよ。生まれて初めてこんなに笑ったって言っててさ。笑いすぎて丸い体にヒビが入りそうだったから、こっちも慌てたよ。
でもこんな話したら、あんたもっとバカみたいに時間かけてとんでもない弁当作りかねないだろ。俺はそれが嫌だったんだ。ほかの誰かが喜ぶことよりも、その労力を、あんたの回復に使ってほしかったんだよ。
あんたの声がききたい。
あいしてるよ
ここまで読んでくれて、ありがとう
あんたの愛する弟
ジュニアン