PWJ書庫
地上からのおくりもの
「あれ…」
ポピーは呆然と立ちすくんでいた。
目が覚めた時にはウィリーの姿は無かったからだ。
『それならわたしもここにいます』
「⋯やっぱりおれなんかとここにいるのは嫌だよね。…もしかしたら、あの子はおれが作り出した夢だったのかも」
そう思いながら、ウィリーが勝手に自分の寝床にしてしまった穴を見下ろすと、
その底には板が置いてあった。
『かならずもどります』
ちなみに、「も」は左右反転している。
…あの子が書いたの? どうやって??
すると。
「ポピー!」
遠くから小さな姿で現れ、こちらに近づくにつれて大きくなってくる影が。
「ウィリー…!」
「もう起きていたんですね。ちょっと地上の世界へ行って、『宝物』をもってきたんです」
彼女は笑顔でそう言うと、
「これはマキシムトマトです。まずは体に元気をあげないとと思って。とれたての新鮮ですよ。あと、これは宝箱です。洞窟マジルテからひとついただいてきました。中には『どせいさんのぞう』が入っています。それからこれは⋯」
『戦利品』をてきぱきと説明しはじめた。
しかも宝箱はスーパーデラックスの洞窟大作戦のものだから、後々カービィが「どうしてもひとつだけ見つからないんだけど⋯」って探し回ったあげく、「もう君のステッキでいいや」ってヘルパーのシミラをすっぴんビームでステッキに変えて、それを補てんする(そしてシミラに殴られる)という展開?があります。
ぽかんとしてたポピーは、涙を拭うと。
「⋯よかった。ここが嫌になって、帰っちゃったのかと思ったよ」
「そんなわけないじゃないですか。ただ、どうしても渡したいものがあったんです」
ウィリーは持ち物のなかから、最後の一つ⋯
大きな巻貝をポピーに渡した。
「これはなあに?」
「耳をすませてみてください」
ウィリーはそう言った。
言われた通りにポピーがその貝を耳に寄せる。
すると。
『ぼくが言うよ、君に「生まれてきて」って』
誰かの声がした。
「!?」
「それは、あなたの弟くんからの言葉です」
「弟⋯?」
「はい。わたしが、あなたの夢を訪れた記憶の一つです」
子どものポピーは、ここへ沈められてからのことはよく知らなかった。弟が生まれたことも、ポピー自身がその弟を育てて家を脱出したことも。
ウィリーは説明すると、
「弟くんは子どものあなたを兄だと知らずに友だちになり、そのうえで、あなたの境遇を知って助け出そうとしてくれました。そして、自分には心はいらない。生まれてきちゃいけなかったから。そう言ったあなたへの、彼からの言葉なんです」
「きっと、あなたを地上の世界へつなぐ光になってくれるはず」
「⋯そんなこと言ってくれる人がいるんだ」
ポピーはその貝から聞こえる言葉を聴いて、何度も泣いて、抱きしめた。
彼はそれからその巻貝を、宝箱にはしまわず片時も離さず抱えて過ごすのだった。