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微笑みの理(ことわり)

「バニーちゃんおはよう。今日もいい天気だね」

いつものように、グランドウィリーは
キュリオ氏と一緒に静かなる進軍⋯もといお散歩をしているバーニングウィリーと挨拶した。

「是。⋯蒼き装甲を纏いし同胞よ⋯我はこの晴天を魂の底から歓喜する⋯」
バーニングウィリーはそう言って頷くと、

「識者キュリオよ。我は同胞(とも)と暫し語る」
キュリオ氏の方を向いてそう言った。
「ああわかったよ。またあとでな」
彼は快くそう答え、買い物へ戻って行った。

★

「同胞(とも)よ。我は此の時代における言語の欠片を取得した」

「そうなの?聞きたいな」 
古風で仰々しいバーニングウィリーが、現代の言葉を覚えた。それはグランドウィリーをわくわくさせた。

「先ず、『なんでやねん』⋯此れは、我と相手と会話の流れに矛盾が生じた際の指摘としながら場に和解をもたらす効力を持つ。」

「⋯?」
グランドウィリーの脳内に、宇宙規模の困惑が広がった。

「そして、『行けたら行くわ』⋯。此れは、もし相手の誘い事を断りたいが相手の好意を侵害もしくは傷付けたくない場合に有効とのこと」

「いや、それははっきり言ったほうがいいよ」
グランドウィリーはすかさず返した。


★

「古代のウィリーがお笑いを知りたいって!?」
ポピーが驚いて声を上げた。
弟ジュニアの送りからの帰り道のことだ。

「そうなんです。毎日熱心に、お笑い番組をみているみたいなんですが、本人は全然笑わなくて。わたしも一緒にみてみたらつい笑っちゃったんですけど⋯そしたら今度はわたしが笑った理由を知りたがって。わたしではうまく説明してあげられなかったから、きっとポピーなら、その構造を教えてあげられるかなと思ったんです」

「そう言ってくれて嬉しいけど、オレはお笑い芸人じゃねーし…そんな⋯構造とかたいそうなことじゃないって。ほとんどノリと勢いでしゃべってるよ」
ポピーは当惑しながら答える。

「そういうものなんですか?」 

「まあ笑いの構造みたいなのを理解してるヤツもいるんだろうけど、⋯」

「わかりました。でも、ポピーの話をしたらすごく会いたがってたんです。是非会ってあげてほしいです」

「本当?勝手に色々美化してない??」

「バニーちゃんはその手の思い込みに流されない車(ひと)です。あなたのことは、きっと魂の形ごと理解しています」

「そ、そう? まあ、君がそこまで言うなら⋯」

★

「汝が我が気高き同胞(とも)の騎手であるか⋯態々出向いて頂きかたじけなし」
恭しく頭を下げた。

「バーニングウィリーな。オレ、ポピー。ブラザーズの兄でSr.っていうんだけど長くて呼びにくいだろうしポピーでいいよ。お前、お笑い好きってマジ?」

「是。」
バーニングウィリーは力強く頷いた。

⋯本当に好きなんだなぁ⋯

グランドウィリーは心のなかで改めて思った

「⋯微笑みは戦場の荒波を撃破し鉄の雨をも晴らせ民の心に虹をかける美しき武術なり」
バーニングウィリーは答える。

「そんな壮大な感じなの!?」
ポピーはバーニングウィリーの語るあまりのバックストーリーに圧倒されて叫んだ。



「じゃあ⋯手始めにこんなのどう?

『古代のウィリーが中二病なんて、ちょっとコダイ(誇大)妄想気味じゃね?』  ⋯なーんて」


その場は静まり返った。


「⋯」

「⋯」

「⋯」

⋯ポピー、見事なスベリ芸ですね?

ウィリーが目線を送り、

⋯褒めなくていいから!!

ポピーは涙目で返した。

が。

「⋯なんでやねん」

重々しい口調でバーニングウィリーが返答した。

!!!?

「なんだよお前積極的じゃん!笑うか呆れるかと思ったけど⋯まさかツッコミ入れてくれるとは思わなかったよ!」
ポピーはバーニングウィリーのヘッドパーツをよしよしと撫でた。


その後色々とポピーがボケ、バーニングウィリーが重々しくツッコむ、というやりとりが⋯バーニングウィリーが満足するまで行われたのだった。

★

「お前はもう、存在自体が色々おもしろいから、あえて笑わせようって考えるより、言いたいこと言って堂々としてたらいいよ 」

ポピーはそうアドバイスした。
 
「そうですね。バニーちゃんはありのままが一番ですよ」
ウィリーもそう頷く。

そして、

「⋯いけたらいくわ⋯」

バーニングウィリーが返答した。

「??」

ポピーとウィリーは目を点にした。

「えと⋯どういうこと??」

ポピーがウィリーをみると、

「つまり、これはですね。ポピーのアドバイスにすごく感謝しつつ、それでも彼女はまだお笑いを諦めたくないと言っているのです」

ウィリーが丁寧に解説した。


「⋯いや、それは好きにしたらいいけどさ!!」

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