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GREAT!!!ランドセル流行事件
「バニーちゃん、おはよう。おでかけなんて珍しいわね」
近所の主婦が声をかけると
「是。未来を担いし光を育む母君よ。これは、我が存在をこの世界に刻むための巡行だ。識者キュリオと共に行うこれは…戦場を持たぬ戦士の、静かなる進軍…」
バーニングウィリーは仰々しく答えた。
バニーというのは彼女の愛称であり、ウィリー仲間が呼び始めたものがいつの間にか広まってしまったらしい。
ずっと眠っていたためか、起きてもすぐ眠ってしまうため、普段はキュリオ氏のラボにいる。しかし、最近は静かなる進軍⋯要するに散歩をするまでに元気が出てきたようだ。
そんなバーニングウィリーはキュリオ氏と一緒に、プププ商店街でお買い物を楽しんでいた。
と、
「む。此れは⋯」
バーニングウィリーはシールコーナーの前でピタリと停まった。
「どうしたんだねバーニングウィリー」
「⋯此の煌々たる輝く紋章⋯我が心が滾る魔術が込められているのか⋯」
そのステッカーは主張の激しいフォントで「GREAT!!!」と描かれた(デデデカスタムが大王に貼られたあの)ステッカーだった。ちなみに、これはホログラム仕様バージョンだ。
キュリオ氏はそれを見て「うわぁ派手なステッカーだな。最近の若者の流行りはわからんな⋯」と呆れていたが、
「⋯識者キュリオよ。この紋章は我の伝説を装飾するに相応しい。此れを入手するにはいかなる手段が必要か」
「え、欲しいのか!?⋯いや、気に入ったんなら買うけど」
キュリオ氏はステッカーを購入すると、希望通りバーニングウィリーのフロントカウルに「このへんがいいのか?」「もっと右が」「此の角度が」というやりとりをしたあと、貼り付けた。
「⋯此の光の角度により七色に変化する輝き⋯精霊達の祝福に違いなし⋯」
鏡の前でバーニングウィリーは角度を変えては感嘆の声を上げていた。
「やれやれ⋯似合ってるのかはよくわからんが、本人が喜んでるなら、まあいいか」
キュリオ氏はそう言って、GREAT!!!なステッカーの輝くバーニングウィリーを連れて散歩を続けたのであった
★
「あっバーニングウィリーだ!やっほー!」
ある日の夕方、キュリオ氏と静かなる進軍⋯お散歩をしていたバーニングウィリーに、子どもたちが駆け寄ってきた。
「やっぱいつ見てもかっこい⋯って、なにそれ!!!?」
子どもたちは目玉が飛び出さんばかりに驚いた。なぜなら彼女のフロントカウルには、非常に自己主張の強いフォントで書かれた「GREAT!!!」のステッカーが貼られていたからだ。
「うわーっダサい!!!」
「せっかくの古代のかっこいい車体が台無しじゃん!!」
子どもたちはドン引きして悲鳴をあげた。
「あはは⋯まあ、そうなるよな」
とキュリオ氏は内心思いながらバーニングウィリーの方をそーっと見たが、
「⋯未来を担いし幼き光たちよ。我は汝らの重大な過ち⋯誤った認識を覆す必要がある。」
バーニングウィリーはまったく動じていなかった。
「⋯此れは精霊達の祝福による七色の輝き。我の不安定なる魂を補い、富と守護をもたらすものなり⋯」
「いや、ホログラムっていうんだよ!!」
「横文字だしさ!!!喋ってる言語と違うやつだよ!!」
子どもたちは盛大にツッコミを入れたが、
「でも、なんかバーニングウィリーが言うとそれっぽいかも」
「キラキラするのってなんか嬉しいもんね」
「おれもランドセルに貼ろー 」
そして小学生たちのランドセルが「GREAT!!!」の紋章によって、七色の精霊の祝福を受けることとなったとかなんとか。