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同胞(とも)と青空を

「あ、バニーちゃん」

とグランドウィリーバイクは話しかけ、



「…む、蒼き装甲を纏いし同胞か…」

バーニングウィリーは仰々しくつぶやくと、



「…識者キュリオよ。我は暫し同胞(とも)と語る…」

そう、キュリオ氏に重々しく語りかけた。



「おお、友だちかね。いってきなさい。わしは買い物をしてくるよ」



キュリオ氏は、バーニングウィリーに友だちがいることを知っている。

古代から発掘された彼女が、今の時代のウィリーたちとすぐに仲良くなっているのは研究としても興味深いことだった。



「今日はキュリオさんとお出かけしてるんだ。珍しいね」

ウィリーはそう言って微笑む。



「…これは、我が存在をこの世界に刻むための巡行だ。識者キュリオと共に行うこれは…戦場を持たぬ戦士の、静かなる進軍…」

バーニングウィリーはそう言った。



…散歩ってことかな?



ウィリーは一瞬、首(があれば)をかしげたが、



「それは素敵ですね」

と笑顔になった。



「お外、楽しい?」

ウィリーがたずねると、バーニングウィリーは「是」と言ってこくりと頷いた。



「…争いの終わりし和やかな世界の空は、青く澄みて美しい。長く雨天を憂いし心が、ようやく晴れ渡る…」



「そうだね。バニーちゃんが走ってたのは、この世界が戦争してた頃だもんね」



「…共に戦いし仲間は、もはや此処には在らぬ。だが――我が記憶には、然りと遺る…」



「うん。でも、こうやってあなたがここに生きててくれるのはわたしたちにとっても、すごく嬉しいことだよ」



バーニングウィリーは、そう言われて、少し考えていた。が。



「…汝(なんじ)は、花の名を冠する一族の兄弟の悲哀を、その身に宿す炎にて栄光へと鍛え上げし気高き車輪……」





「えっ」



グランドウィリーは驚いた。



「⋯争いを始めし者は己自身の戦いに敗北し、相手に闇を重ね見た者。其れは世の理により仕方なし。然し我は思う。己の戦いを自らのうちにとどめ他者に柔らかな微笑みを向ける者こそ真(まこと)の戦士なり、と」



バーニングウィリーの言葉に、グランドウィリーは



「ありがとう。なんだかすごく褒められちゃった」 

そう言って微笑む。そして、



「でも、わたしはそんなに立派じゃないかも」

と目を伏せた。



「⋯わたしの運転手さんは、今まさにあなたが言ったみたいな人で。本当は、すっごくつらくって、痛いはずなのに、いつだって笑ってるし、優しいんだ。わたしはただ、何かできたらいいなってついてきただけ」



バーニングウィリーはじっとその言葉を聞いている。





「⋯あなたのそばにいれば、わたしは勝手に幸せになる、なんて言い張っちゃってさ。なんにも自信なかったのに。それなのに、彼はいつもわたしにしあわせをくれるんだ」



「⋯相手の是非を裁かず、その歩みに寄り添い続けることは、容易なることではない。汝が今、我が言葉を厭うことなく、耳を傾けてくれたように」





「お話をきくのは好きなんだよ。話したいって、思ってくれるひとはだけど⋯」

グランドウィリーはそう言って、少しだけ苦笑いをした。



「…然り」



「でも、それはきっとね、今まで、わたしを『そだてて』くれたひとが、そうだったからなんだ。

もうだめかも、これからどうなっちゃうんだろうって思ったときに、わたしには、必ず『起こして』くれるひとがいた」



「⋯(静かに耳を傾けている)」

 

「バニーちゃんも、『こわい』って思うものと、ひとりで戦わなくていいんだよ。『たすけて』って言える人ができたら、ちゃんと、目の前の一番大事なことを選べるから」





「…成程」





「お互いに、マイペースに、『進軍』だね」



「⋯是」



二台は並んで空を見上げていた。



その帰り道。



「…識者キュリオよ。外界の空気と情景は、我の心に安寧をもたらす……故に、再び赴くことを望む」



「ああ、いいとも。明日も行こうな」

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