top of page

6

◆◆◆
デデデ大王は屋上で星を眺めていた。
ワドルドゥは彼に今日の出来事を報告しているところだった。

「珍しいな、お前らが喧嘩するなんて」

「…喧嘩ではありません」
ワドルドゥは否定した。

「彼の希望で…手合わせを」


「ああ、わかってる。あいつが許可を取りに来たからな。
分野が違うのに、無茶しやがって」

デデデは両手を上げ、首を振る。

「まあ、意味がないわけではないけどな。
お前ら魔法タイプは使った分体力を消費するから、必ずしも有利ってわけじゃない」


「…はい」

「そして、自分より弱い相手との手合わせも…別になんの意味がないわけでもない。
無駄な力を使わず戦う練習にはなるし、力でねじ伏せる以外に相手に『負けた』と思ってもらうための手数を増やすのに役立つ。そういう目的で、付き合ってやるのも手ではあるな」

「…たしかに」

「だが、お前は殺意をセーブしながら戦うのが苦手だろう?」

「え?」

「つまりな、必ずし倒すと決めた相手には全力で向かえるが、守る対象だと思っている相手に向かうことはできない。それは、お前にとって戦闘そのものが、遊びではなくて殺し合いってことだからだ」

…守りたい人の幸せを邪魔する者を排除するための行動。

ワドルドゥは驚いて、

「…そんなにわたしに殺意を感じますか?」 

「まあ、時々な」

「…」

自分でも気づかなかったことを指摘されて、ワドルドゥは考え込んだ。

「いや、それでいいんだよ。
オレさまもあまり不向きなことはすすめん。
お前はバンダナとは、競うよりも、協力する相手になってやれ」
デデデはそう言って、

「…今までと変わらずな?」 
と続けた。

しかし、

「…そうですか…」

…僕らは、大王さまとカービィのように、
競い合って成長する間柄にはなれないってことなのか。

ワドルドゥは、バンダナワドルディに申し訳なく思っていた。

デデデはそれに気づくと、手を打った。

「よし、わかった。
じゃあ、バンダナに伝えておいてくれ」

「? 何をですか?」

「明日はオレさまが相手をしてやる、とな。
ハンマーと槍術、同じ物理タイプなら、勝負のしがいがあるだろうさ。」

ワドルドゥはそれを聞いて驚いたが、同時にバンダナワドルディが喜ぶ顔も浮かんだ。

「ただし、あいつの体力が戻ってたら、だからな?」
デデデは念を押す。

「かしこまりました」

彼はそう言うと、深々とお辞儀をして、部屋へと戻った。

bottom of page