星咲く宇宙を君と
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いつかお花畑で君と
お花畑で話をするポピーとグランドウィリー。甘々
【PoppyWheelie】いつか花畑で君と
「いつかここに来てみたいと思ってたんだ」
「確かに、とても綺麗ですね」
「でも、お花畑は、ポピーの方がよく似合います」
グランドウィリーは言う。
「名前もお花の名前だし、妖精さんみたいですもんね」
妖精さんと言われてキョトンとするポピー。
「そんなにオレ可愛い?」
「はい。可愛いです」
「…ソウデスカ…」
顔が赤くなって、台詞が棒読みになってるが、まんざらでもなさそうだ。
「わたしにしっくりくるのは、無骨な荒野とアスファルトですよ」
「本当に?」
ポピーは編んだ花冠を彼女のグリップに引っ掛けた。
「似合うと思うよ? オレは」
「…?」
大きな瞳が、グリップに引っかかった花冠を見つめる。
「不思議ですね。ポピーと一緒にいると、本当に心が女の子みたいになってしまいます」
「女の子でしょ?」
「そんな気がしているだけで、実際は性別なんてありません」
「たとえ心だけだったとしても、その気になってくれるのなら嬉しいよ」
花畑で寝そべったまま、ふたりは笑う。
「いつもジュニアの話ばっかしてるけどさ」
「君がいなかったら、きっとあいつもここまで元気に育ってないと思うんだよね」
「親父のもとを逃げてきた時は、これから生きていけるのか不安で仕方なくて。でも帰ることもできなくて…怖かったから…」
「…」
ウィリーは黙って彼の話をきいていた。
ポピーははっとして、
「や、そういう暗い話したいんじゃなくてね? こうして振り返ると、君がいてくれたおかげでなんとかなって、オレ本当、幸せだよなぁって思うわけよ?」
といつもの調子で笑い出す。
「…」
グランドウィリーは知っていた。彼がどんな思いで生きてきたのか。
暗闇の中で藻掻きながら探していた生きる道。
涙が溢れそうになって、声が出せずにいたのだ。
「…ありがとうね」
その手がそっと瞼に触れる。
ウィリーちゃん」
「はい」
「あのとき言ってくれたことを、そのまま返すようで…芸も何もないんだけどさ」
「え?」
「これからも、オレのそばにいて。
君がいてくれるだけで、勝手に幸せになれるから」
「!」
「一緒に幸せになろ」
「…」
「…」
フフ。と笑う
「ね? そのまんまでしょ?君が言ってくれたことの」
「確かに、似たようなことを言いました…」
「でも、オレの中ではこれほどの言葉は見つからなくてさ。それだけ君がくれたものはとても大きかったんだよ」
「…」
「…」
「だけど、ほとんどの気持ちが感謝なんだ。それと、憧れ…尊敬。こうやって話をしてくれて、助けてくれるだけでも有り難いことなのに…」
「もっともっと、そばにいたいなんて、図々しいよねぇ」
ポピーが笑う。
勿体ない言葉だった。
…嬉しい…?
ああ、そうだ。私は嬉しいんだ…
グランドウィリーはポピーを見つめ、瞳を閉じた。
「わたしにできたことは、少しだけで。ほとんどはあなたががんばっていたんでしょう。
わたしには、あなたの代わりにジュニア君を抱きしめてあげることも、頭を撫でてあげることもできない」
「何言ってるんだよ」
「オレすっげー寂しがり屋だからさ、こうやって話聞いてくれるだけで元気出るのよ」
「…」
「今だってこうやって話せて嬉しいよ、すごく」
「そうですか」
出てきたのは、どこか他人事の、素っ気のない言葉のようだった。
けれど。
グランドウィリーは目を閉じる。
決して空っぽではなかった心に、溢れるほどの温かさが満たされていた。
「わたしも、そばにいられて幸せです」
「へへ、やった」
「やっぱり、わたしも腕があったらあなたを抱きしめたいです」
「え?」
ポピーが目を丸くする。
でも、
「君の腕は、見えないだけだよ。
いつだって、そうしてもらってる気がするもの」
そう言って微笑んだ。
…ポピー。
私はあなたのことが、だいすきです
きっとこの命は、それを伝え続けるためにあるのでしょう。
ここまで