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【デデ城】メイド喫茶 デデデ城

デデデ城組がメイド喫茶をやる話です。

男性キャラたちによる恥じらいも何もない堂々たる女装が描かれます。ご注意ください。
CP要素:デデカビ(カービィ♀)※設定のみ
腐向け要素: ワド→デデデ、ドゥ→ディ

ドタバタギャグ…です。
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【デデ城】メイド喫茶 デデデ城

「おはようバンダナ君。…その格好はどうしたの?」
ワドルドゥがたずねる。

「メイドさんの服を作ってみたんだ。今日はこれで大王さまのお世話をしようと思って!」


「は?」

ワドルドゥは真っ白になると

「そんなのだめに決まってるじゃないか。可愛すぎるから、大王さまも君を見る目が変わっちゃうよ」



「実は、それが目的だったり」

バンダナ…改めてメイドワドルディは笑う。
もし口が見えていたら、舌をぺろりと出して笑うところだろう。

「はっ???」

ワドルドゥは愕然とした。

…なんだよ、カービィとお付き合いしてるって聞いてもうだめだって言ってたのに、まだ諦めてなかったのか…!

彼は頭を抱える。

「そんなに可愛いかな?」

バンダナワドルディは、可愛いと褒められて嬉しそうだが、

「…!」

…そういうとこなんだよ、バンダナ君!

ワドルドゥがいくら彼を好きでも友だちと言い張って次の段階(?)に進もうとしないのは、彼がまだ…長年連れ添って来た主君のことを好きだという可能性が疑われていたためだ。
しかも、このことは本人も無自覚で、主君のきまぐれな一言で落ち込んだり、舞い上がったりする様は恋する女子そのものだった。
しかし、それはただ承認欲求からくるものかもしれず、ワドルドゥは慎重に彼の話を聞いてきたのだが…
これではっきりした。

こうなってしまっては、いつもは尊敬し従える上司も、憎き恋敵である。

…よし、◯そう。

そんな物騒な意志とは裏腹に、

「うん、すごく可愛いよ。
似合ってるし…服もよくできてるし、すっっっごく可愛い。さすがバンダナ君だ…」

いつもの調子で甘やかな言葉を吐く。

そして。


「…それと、その服もう一着あったりする?」

「えっ」


◆◆◆

「ああ…、実に贅沢だ。城の屋上から朝日を見ながらの歯磨きは…!」

デデデ大王はそう言いながら朝日を眺め、歯磨きをしていた。

そこへ。

「大王さま、おはようございます!」

「おお、おはよう」
部下の声に振り返ると、

「今日はなんでもお申し付けくださいませ!」

なんと、メイド服を着た見覚えのある部下二人が、朝の挨拶にやってきたのだ。

「ぶふっ」
デデデは口の中の歯磨き粉を噴き出しそうになって、

「な、なんだなんだ!? お前たちその格好は!?」
と叫んだ。

「…何って、メイド服です。バンダナワドルディ君がつくりました」

バンダナワドルディと同じメイド服を着たワドルドゥが、(何の罪もない主君を)睨みながら答える。

「見りゃわかるわい!!」
デデデは怒鳴ると、

「なぜそんな格好をしてきたんだと聞いとるんだ!」

「それは、その…」
バンダナワドルディは、おろおろすると、


「やはり、召使いとしてお従えするなら…可愛い服の方がいいかと思いまして…!

ね、ドゥ隊長?」

「いいえ、僕はまったく思わないです」
ワドルドゥは即答した。

「…意味がわからん…」
デデデは顔を覆ってため息をついた。

「まあ、お前たちが着たいんだったら好きにすればいいと思うが…」
デデデはそう言って部屋に戻ろうとした。

「!


そ、…そうですか…」
それを聞いて、バンダナワドルディがしょんぼりと眉をハの字に下げた。

「!」
…バンダナ君が悲しんでいる。

そうとなれば自然と体が動いてしまうワドルドゥだった。すかさず大王の前に回り込むと、

「大王さま、僕ら可愛いでしょうか? この服似合ってますか…?」

そうたずねた。

しかし、聞いている内容とはうってかわって、
血走った目と殺意あふれるドスのきいた声はなかなかの迫力だ。

「ヒィ!?」
デデデは悲鳴を上げた。

ひとまず、この人の口から「似合ってる」と言わせてバンダナ君の笑顔を取り戻したい彼だった。しかし、彼だけ似合ってると褒められて二人だけの世界に入ることは断じて許せなかった。
それで「僕ら」となったのだった。

何が何だかわからないデデデは恐れおののきながら、

「あ、ああ可愛い!可愛いぞ!! もちろん。 それに似合ってる。服もよくできているじゃないか! さすがオレさまの自慢の部下だな…!!?」
と、ブンブン首を縦に振る。

普段は照れて言えないことだが、ワドルドゥの勢いに押され早口でまくしたててしまった。


「…大王さま…!!」
それを聞いてバンダナワドルディは感激して目を潤ませた。

「…」
ワドルドゥはそんな彼を見て、心の中で深いため息をつく。

と、そこへ。

「…なあ、それもう一着あったりするか?」
デデデがこっそりワドルドゥに耳打ちしてきた。

「はい?」

◆◆◆
ポピーブラザーズJr.の通う小学校からの帰り道。

「あいつ最近オレへのあたりがキツくってさ…」
しょんぼりと肩を落とすその兄、ポピーブラザーズSr.の姿があった。

「年頃だから、正常な成長かと思いますよ」
グランドウィリーがそう言って、微笑む。

「そう?」

それを聞いてポピーは、

「へへ、だーよなー。思春期反抗期がなくちゃ、逆に心配よね」

とすっかり上機嫌になると、彼女をお城の車庫に停めて、
「じゃ、また午後にな!」
と階段を登る。 



バタン

「ただいまー! ポピーブラザーズシニアおにいさまが、弟の送りを終えてもどりましたよー!」

ポピーが元気にロビーの扉を開けると…


「「「おかえりなさいませー!」」」

メイド服をまとった見覚えのある一頭身二人と…大柄でいかついメイドが一人。

「はァ!!?」
ポピーは口をあんぐりと開けると、

「え…何またオレのいない間に楽しそうなことしてるんですか??」

そう言いながらやってきた。

「デデデ城でメイド喫茶をやろうと思ってな!」
大柄でいかついメイドが答え、

「ポピーの分もありますよ!」
どうぞ、ととても可愛らしいメイドが答え、ポピーのサイズに合わせたメイド服を渡した。
 
「打ち合わせするからすぐに着替えてきてね、お兄さま」
1つ目のメイドが机や椅子を運ぶ作業をしながらそう言った。


「…」

ポピーは、メイド服を受け取ってしばらく黙っていたが、

「いや、おかしいでしょ!!!?」

と、ブチ切れ気味に叫んだ。


「バンダナはまあいいとして…大王さま! あなたはこの中で1番になれないと拗ねるからめんどくさくて客が気を遣います!!」

「いっ!?」

「そしてドゥ! お前はバンダナをやらしい目で見る客に波動ビームをぶっ放す未来しか見えない!!」

「えっ」

「だから、絶対に、商売にな り ま 、せん!!!」

ポピーはそう言い放つとバンッと机に拳を打った。

「…!」
彼ら三人は顔を見合わせると


「そんなことないもん、オレさまメイドやれるもん…」
デデデが涙目で訴えた。

「そうですよ!大王さま! ぼくらがついてますから! 大丈夫です!」
バンダナワドルディが力強くフォローするが、

「大丈夫じゃねーよ、バカ!!」
ポピーはすかさずツッコんで、

「そういうとこですそういうとこ! それに普段部下を使ってる立場なんだから、自分がサービス業に向いてないってちょっと考えたらわかりますよね??」
ポピーは険しい顔でデデデに詰め寄る。

「うう…今日のポピーお兄ちゃん、こわいよぉー」
デデデは目を潤ませてポピーを見つめた。

「そんな目して可愛いこぶったってだめです!!!」

「ちっ…」
ぶりっこ作戦も効かないと判断したデデデは舌打ちすると、

「そんなに怒ることないよな、バンダナ」と自慢の部下に言い、「まったくです!」と彼は頷いた。

「…」

そして、もう一人の危険人物が。

「キャストが気持ちよく働けるように気を配ることも大事だよ、ポピー」

「だったらお前は裏方に回れ!!」


普段はふざけているポピーだが、真面目な二人と面倒くさい主君がボケ倒したら即座にツッコミ側に回る。そういうところは、面倒見の良いお兄ちゃんなのだろう。(たぶん)

「ったくもー…しょーがねーなー」
ポピーがため息をつきながら着替えていると、ちょうどそこへお客様がやってきた。

「デデデーこんにちはー!」

…カービィ!!?

めずらしくお城の門からやってきたと思ったら、今日はグーイと一緒だ。

…おいおい、なんでこういう日に限って客が来るんだよ!!


「遊びに来たよーっ


って… え? これ何かのイベント…?」

「よく来たなカービィ。今日からデデデ城はメイド喫茶に生まれ変わったのだ! 今日はたっぷり奉仕してもらうぞ♡」

「大王さま、奉仕『させてもらう』、です!!」
客にさせてどーすんですか、とポピーは訂正する。

「うぇぇ、そうなの…?」
カービィはとても言葉には説明できないような表情で彼らを見つめる。

「皆メイドさん…なんだよね?? 似合ってるのワドルディだけじゃない…」

「何だと!?」

「…」
「…」
ポピーとワドルドゥはデデデを見る。

「カービィ…!」
バンダナワドルディは嬉しそうだ。


「いや、二人もまだいいと思うよ? 表情とか振る舞いをもっとを可愛くすれば…

でも、デデデ。 君はだめでしょ」

かれはデデデの姿を見て冷ややかに言った。

「!!!」
さすがカービィ。三人にとってデデデは主君であり上司である。彼らには言えないことも、さらりと言ってくれる。


「なんでだ! こんなにプリティでキュートでダンディーなメイドの何がだめだっていうんだ!?」

「ダンディーなメイドさんはおかしいよね!?」
カービィはそうツッコんだが、

「素敵です…!」
ダンディーなメイドと聞いて、グーイは目を輝かせている。

「え? そ、そう…」
彼の独特な感性はカービィにも理解しきれない。

「グーイ、お前は話のわかるやつだな!」
自称・ダンディーなメイドは大喜びだ。

「まあいいや。じゃ、メニュー見せてよ? 何か食べていこうか」
カービィはそう言って、席に座った。

「そうしましょう」
グーイも喜んでその向かいに座る。

…え、注文すんの?
ポピーは思ったが、

他三人は「そうこなくっちゃ!」と張り切ってそれぞれの持ち場へついた。

「…」

◆◆◆

「それじゃ、このワドルディのおひるねオムライスがいい。2人分ね」

「はい、おひるねオムライス2人分ですね」
バンダナワドルディがテキパキと注文を受けている。

「それではしばらくお待ちくださいませ。ご主人さま」

「すごーい、本当にメイドさんみたいだ!」
カービィが感動していると、

「えへへ、ありがとう」
バンダナワドルディは照れて頬を赤く染めた。

と、その時だ。

「メイドさん、今日のぱんつ何色ですか?」

グーイが彼の後ろにまわったかと思うと、長い舌でスカートをひらりとめくったのだ。

「わ゛ーーーッ!!?」

デデデとポピーはずっこける。

そして、

『波動ビーム』

危険人物が動いた。

ドゴオォオン

「あーれー」
グーイは派手な音を立てては吹っ飛んでしまった。

「グーイ!!!」
カービィが叫んで彼のもとに駆け出した。

「ご、ご主人さま〜!!!」
バンダナワドルディも大慌てで追いかける。


デデデとポピーは顔を見合わせた。
「…」
「…」
早くも予想通りの展開になってしまった。

◆◆◆

「お前は裏方にいろって言ったろ!!!」
ポピーが怒鳴った。

「バンダナ君の悲鳴が聞こえたので」

「あいつ(グーイ)はピュアだから、許してやれよ…」
デデデも呆れながら言う。

「ピュアだったら何してもいいわけじゃないです」

「もういいよ! いいから!! ね? ボク気にしてないから怒らないでよ〜っ!!」 




「グーイ、だめだよ? メイドさんのスカートめくっちゃ…」
カービィはグーイを抱きかかえると、注意した。

彼はボロボロの姿だったが、

「…何もはいてませんでした…」

と、一言告げた。

「報告しなくていいから!!!」


◆◆◆


「ハーイ、ご主人さま。 お待たせしました、ご注文ワドルディのおひるねオムライスです♡」

これ以上被害に合わないようキッチンに回されたバンダナワドルディがせっせと作ったオムライス2人分を、メイドデデデが運ぶ。

「おえー…。ありがとうございます…」
カービィはデデデの裏声+ぶりっこ演技にドン引きしながら注文を受け取った。が、

「かわい〜!」

ワドルディがおひるねしているように盛り付けられたオムライスは、食べるのがもったいなくなるくらい可愛らしい。

「それに、おいしそうです」
グーイが言った。

「ワドルディが作ったんだからおいしいに決まってるよ!」
カービィは笑顔で答え、さっそくいただこうとした。

「ちょっと待った!」

「?」

デデデは、そう言うと、

「ご主人様、ケチャップをかけてさしあげますわ♡」

「あ、けっこうです」
自分でやります、カービィはそう言ってフォークを持ったが、

「まあそう言うなよ」
デデデはお構いなしに、カービィの分のオムライスを取り上げると、

慣れた手付きで、

『打倒カービィ』と、書き(?)込んだ。


「…」


「さあ、どうぞご主人さま♡」

せっかくの可愛らしいオムライスが、打倒カービィの文字のおかげでおかしなことになってしまった。

カービィは無言でそのオムライスを見つめている。


「メイドさん、たっぴつ です」
グーイが褒めた。

「あのさあ!!?」
カービィはとうとう腹を立てると、テーブルに拳を打ち付けた。

「なんでお客さんに『打倒』とか書くんだよ!! おもてなしってどういうことかわかる!? 君は接客について一回勉強したほうがいいよ!!」

そして席から立ち上がり、オムライスそっちのけで、メイドデデデを追いかけた。

「わ、わわワドルドゥ隊長ー!? お客様があばれてます! なんとかしてくださ〜い!!」
デデデは逃げ回りながら叫んだ。

「ご自分で招いたことは、ご自分でどうぞ」
ワドルドゥはそういうと、グーイにケチャップを持ってきて手渡した。

「おいしいです」
グーイはそれをかけてもぐもぐと食べ始めている。


「…」
ポピーはそれを見て、やれやれ…と両手を上げた。

◆◆◆

「あーおいしかった。ごちそうさま!」

2人は満足すると、

「じゃ、経営がんばってね!」

「たのしいお店でした」

皆にも宣伝しておくよ、とカービィはお金を支払い、帰っていった。


「…ううむ」
デデデは腕組みをして考え込んでいた。

「…どうです? 大王さま。」

ポピーが話しかける。

「やっぱりメイドはバンダナとワドルディ隊にさせたほうがいいですよ。オレらは経営や宣伝、売上管理を…それならまあなんとかやってけそうな気もしますけどね」

「やだやだやだ、オレさまもメイドやる〜」

「子どもに戻らないでください!!!」


その後もメイド喫茶デデデ城はしばらくの間運営され、評判も良かった。…のだが、やはりアンケートへの高評価は料理とバンダナワドルディとワドルディ隊の可愛らしさに対するもので、

「やっぱりオレさまが一番になれないメイド喫茶なんてつまらんわい!!」

と拗ねてしまったデデデ大王の一声によって、一ヶ月を待たずにより閉店することとなったのだった。




(おしまい)

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