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7



とりあえずお茶を淹れて、渡すと、バンダナ君はググッと一杯飲み干してしまう。少し冷めてしまっていたからやけどはしなかったようで。

「ほら、ここに座って! 」
ポンポンと隣をすすめられる。

「わ、わかったよ…」
おとなしく、そこに座る。

「いつもそうなんだ。何かある時には、大王さまとか、ポピーとかに話したり…一人でどこかにでかけちゃったり。で、ボクには何事もなかったように、こうやって優しくしてくれてさ」

「それは…」

「ボクがこんなだから、困った時に頼ってくれないんだよね…?」

「まさか!」
僕は否定すると、
「君はいつもがんばってるからね。一生懸命。
そんな君に、迷惑かけたくないんだよ。」

「なんでさ! こっちだって力になりたいって思ってるんだよ!?」

「…それは、すごく、嬉しいよ、バンダナ君」

「だったら、どうして…?」



「…確かに、僕ばかり君の話に踏み込んで、それでいて僕の話をしないのは、フェアじゃないかもしれないよね」


「…うん。そう思う」
バンダナ君が頷く。

「だけどね? どんなに…信頼してても、話せない…話さないほうがいいことだってあるんだ」


「…!」
 
暫くの沈黙のあと、

 
「そっか」
バンダナ君が口(?)を開く。


「バンダナ君?」

「…ボク、もっとしっかりしなきゃね。君が話したいって思えるくらい。
話しても大丈夫だって、思えるくらいに。

そうなってから、言うべきなのに…」


「え…」

言葉に詰まる。

「…ごめん…」
涙が頬を伝う。


そうか…。

そっとしてほしい、なんてお節介な君には一番苦手なことだったな…。

でも、それで君が謝るなんて、おかしな話だ。

いつだって、君は間違ってなんかいないのだから。


「…あのね、バンダナ君」



「…?」

「…大丈夫。君が…もっとしっかりしなきゃとか、強くならなくちゃとか。そんな必要はないよ」

「え?」



「今から、ずっと話せなかったことを話すね」


「え?」


バンダナ君の顔が輝いた、

「もちろんだよ! 話してよ!」


「…でも、」

「?」

「もし、怖いとか、気持ち悪いと思ったら、ちゃんと自分を守ってね…?」


「え?」

バンダナ君が硬直する。


身を守る…?

「…どういう、こと?」


「そのままの意味だよ」

「? ボクに関係することなの?」


僕はゆっくりと頷く。

「…」


バンダナ君は、キリッと眉を鋭角にする。


「わかった、聞くよ!」



…ああ、終わりが、はじまる。


そんな声が聞こえて来た。ーー




​(つづく)

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