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「バンダナ君、こんばんは」

「ドゥさん…」
バンダナ君の表情は暗かった。


「ごめんね。無理しなくていいよ。今日はもう寝たら」

「えっ?」


「無理って? そんなわけじゃないけど… 今夜は一人でいたい気分なのかい?」
だったら遠慮するけど、と

「違う。そうじゃなくて…」


「じゃあ、入って? 少しだけ、聞きたいことあるから…」

「? わかった」

バンダナ君が「少しだけ」って言う時は、全然「少し」なんかじゃない。何か深刻な話かもしれない。


パタン


ドアをしめる。

「…お休みは、ゆっくりできた?」

「うん。たまにお城の外に出るのもいいものだよ」

「そう。よかった…」



「なんだか、最近悩んでた気がしてたんだ」

「えっ」
 

「そう?…僕はこういう顔だから、表情はわかりにくいと思うんだけど」

「わかるよ…。声のトーンとか、声かけたときの反応とか。いつもと違うなって。」

「そんなことで?」

「もちろん。これだけ一緒にいるんだもの。当然だよ…」

「…そう…」

…それは、ちょっと分が悪いかもしれないな。
特に今日は。

あまり長居しないほうがいい気がする。なんとなくそんな予感がした。

お茶のポットを置いて、


「今日は大王さまとどこへ行ったのかい?」
と質問をする。

「…」

「ワドルディ隊をポピーに任せると大変なことになるんだけど、今回はどうだったかなぁ」

「…」

「でも最近は、彼も学習してて、少しは扱い方を」

「そうじゃなくてさ!」

急に声を荒げるバンダナワドルディ。

「えっ?」
ワドルドゥは驚いて振り返る。

「ボクは、君の話が聞きたいんだよ…!!」


「え、え…?」


「いつも、ボクの話ばかりして、ごめんね。いつも、つい、何でも話しちゃって…なのに、君の話はいつも後回しで…」

怒った後に、謝って、泣きそうになって。
ちょっと情緒不安定になっているのだろうか。

「バンダナ君?」
心配して駆け寄る。

「いや、そんなこと全然気にしてないし。…どうしたの?」

「ほら!!またそうやって…!」

「う、うん…??」

バンダナ君が僕の腕を掴んだ。

「今日は、ちゃんと話してくれるまで返さないからね!?」


まずい、お節介スイッチが全開だ。

やっぱり、彼の「少しだけ」は、少しなんかじゃない。

なんだか、すごく困ったことになったかもしれない。

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